体を痛める原因はさまざまありますが、その一つに、動作の基盤となる骨盤を思い通りに動かせていないことが挙げられます。
トレーニングでスクワットをする時や、日常生活で床に置いてある荷物を持ち上げる時、骨盤のコントロールを細かく意識したことはあるでしょうか?
骨盤の動きは動作における重要な要素であるにもかかわらず、私たちはいつしかそれが適切かどうか関係なく無意識の中で骨盤を動かしています。この骨盤を適切に調整することはケガや痛みの予防に繋がります。
しかしながら、例えば、骨盤の前傾には腸腰筋や脊柱起立筋などが、後傾には腹直筋や大臀筋、ハムストリングスなどが関与し、これらの筋肉が協調して働くことで骨盤の安定が保たれるわけですが、関与する筋肉が多いということは、それだけコントロールが難しいことを示しています。
トレーニング中や日常生活において、骨盤をうまくコントロールできないと、正しい体勢を維持したまま動作を行うことが難しくなり、関節や筋肉に不要な負担をかけてしまいます。
そのため、スクワットやデッドリフトなどのトレーニングを行う前に、基礎トレーニングとして、適切な範囲内で自分の意図通りに骨盤を動かすことができるかどうかをチェックすることが必要です。
この基礎トレーニングは、しばらく運動をしていなかった方にとっては難しく感じるかもしれません。
そこで、骨盤のコントロールを習得するための基礎トレーニングとして、体勢を変えて段階的に取り組むことが有効です。
例えば、骨盤の動きの一つである前後傾を立位の状態でやってみると、予想以上に自分で骨盤を動かすことができないことに気づくと思います。うまく動かせないなと感じたら、イスに座って同じ動きをしてみる、それでもうまくできなければ四つ這いの姿勢でも試してみましょう。体と床の接地面積が増えると、体を安定させやすくなり、骨盤の動きに集中しやすくなります。 さらに座位や四つ這いの姿勢でも難しい場合は、仰向けになり膝を立て、床に両足裏をつけた状態で実施してみましょう。この体勢では、骨盤後傾時に腰部が床に接するため、骨盤の動きをより明確に感じることができます。
*仰向け、四つ這い、立位
地味な内容ではありますが、これらの基礎トレーニングを繰り返し行うことで、次第に骨盤のコントロール力が向上し、日常生活やトレーニング時の身体の安定性が高まります。 仰向けの状態で動作ができるようになったら、四つ這い、座位といった具合にプロセスを進めて立位まで動作レベルを上げていきましょう。最終的には、立った状態でも骨盤を自在にコントロールできるようになってからはじめてスクワットなどのトレーニングを行うことが本来は最善策です。
骨盤のコントロール力を高めることで、日常生活やトレーニングにおける体の安定性が向上し、より安全で効果的な運動が実現します。ぜひ、トレーニング前のウォーミングアップや、日々のストレッチの代わりに取り入れてみてください。
なお、もちろん骨盤だけを適切に動かせば良いわけではなく、骨盤と連動する脊柱や肩甲骨の動きも同じくらい重要ですのでお忘れなく。
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